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2008.09.26 (Fri)

久々の小説っ☆

シオンとユラの姿が小さくなるまでツワモノタチは
誰一人として口を開かなかった。
二人が見えなくなったのを確認すると、
ツワモノタチは嬉々として喜びの声を上げ、肩を組み、踊り歌いだす。


「おい、こいつはすげ~よ。金細工で翡翠がはめられてるなんて、
そうある品物じゃねぇ。九千ギヤ以上、いや国ひとつは買えるかも♪」 
「国はさすがに無理だべ。」
ぎゃははははははと五人は下品に笑い、
まるでいい女の色香に酔ったかのように、その場に座り込み飽きることなく見ていた。


「三鏡(みかがみ)でシオンの首輪の気配を頼りに来てみたのに。
やはり、外して何処かに姿をくらましたようだ。」


ツワモノタチはぎょっとして顔を上げると、
そこには若くてひ弱そうな青年が、五人を見下ろすように立っていた。
絹で出来た純白の服と、金の装飾だけではなく宝石をいくつか身につけていて、
いかにも高貴な家柄だというオーラがその身なりからすぐに見て取れる。


五人はにやりと笑うと青年を囲み、
いやらしく装飾品(そうしょくひん)を触りながら言った。
「なぁ兄ちゃん、命ばかりは助けてやるから。全部置いていきな、
あんたは高貴な家柄のお人だから、今回ばかりは殺さずに見逃してやるぜ!?」


底知れぬ食欲・性欲・豪欲を貪(むさぼ)りながら生きているツワモノタチには、
高貴な家柄のモノは格好の獲物。
使うだけ使い、そして使えなくなったら殺せばいい―



【More・・・】

「お断りします。私をあまり怒らせないほうがいいですよ。
今とても機嫌が悪いんで、何するかわかりませんよ・・・・」
涼やかにいうと、
いやらしく装飾品(そうしょくひん)を触ってくる手を払いのけ、
ツワモノタチが持っている首飾りを奪い大切そうに懐に入れた。


「何すんだ!俺たちから物を奪うなんて、
どういう目に遭うかわかってんのかぁ。」
刃物を振りかざすもの。拳を上げるもの。


(少し痛めつければ、おとなしく言うことを聞くだろう。)


五人のツワモノタチは安易(あんい)な考えでいた。
これから起こることなど知るよしもなく―


―グシャッ―


数秒もかからなかった。
ガタイのいい男たちは人形のように五人とも同じく倒れこみ、
腹に拳の大きさの穴が開いていた。
そして、ツワモノタチはピクピクっと数回けいれんした後、動かなくなった。
「だから言ったのに、何するかわかんないって―。」


指についた血をぺろりとなめ、
五人分の返り血で純白だった服は真っ赤に染まってしまっている。
「せっかく最近、気に入ってた服着て来たのに、血で汚れた・・・
ほんと迷惑極まりない奴ら。ゴミくずだから殺して当たり前だけど。」
そう言うと青年は怖い微笑を浮かべ、クックッと笑う。


「でも、それと同じように、
この純白の色を血色の真っ赤に染め上げていくのは、背筋がぞくぞくして、
狂いそうなほどに私は好きで仕方がないんだけど。」
そして、若者が恋しい乙女の名を口ずさむように、口に上らせる。


「シオン・・・・シオン、シオン、シオン、シオン―
何処に隠れたのかな・・・・私の愛しい愛しいシオン。
まるで子どもの頃にしたかくれんぼみたいだ。必ず見つけてみせるから。」


青年は男たちの体をまるで人ではないかのように踏みつけると、
ふいっと消えうせた。
五人はもう動くことなく地面に横たわっていた。
その血に濡れて真っ赤な骸(むくろ)を、太陽がさらに赤くしていく。
これはある初夏を告げる月初めのことであった。


4年デイヴァイの暦7月
従臣、シオン・クランシスは主を探し、主に巡り逢わん。
五千年探しこれそれより主とす。うら若き乙女、黒髪に黒き瞳その名を、
ユラ・フォールドという。                 『リアデーヴァ』



    ――そしてユラ・フォールドの物語はまだ始まったばかりだ――
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